下図は生体肝移植という医療が始まった時の概念を示したものです。我が子が海で溺れようとしている時に、親としては居ても立ってもいられない気持ちで飛び込んで助けたいことでしょう。ところが、そのままでは親子共々溺れてしまう危険があり、このような事態を避けるためには、安全な命綱(良い手術)と充分な情報(インフォームド・コンセント)、さらに他の家族の支えが必要になります。親から子へという場合は、決断に迷いの少ない場合が多いのですが、家族関係が複雑になると迷いが生じる場合もあるでしょう。
脳死肝移植でも生体肝移植でも、移植を受けた後の目覚ましい回復は、臓器提供者(英語でドナーDonorと呼びます)の掛け替えのない善意によって初めて成り立つものです。特に生体肝移植では、病気でないドナーが、患者さんを助けたい一心で自分の身を危険にさらす提供手術を受けるわけですから、ドナーの安全には最大限の注意が払われなければなりません。生体肝移植の主役はむしろドナーであり、ドナーの安全は、提供手術後も生涯にわたって確認されなければなりません。 |